第1回  

茶室というのはただただ茶事を行うところなのに、使いにくいばかりではなく全く使えない「茶室」がこの世に多く存在しています。
こんなのは茶室と呼べるようなものではなく、ただの和室ともいえます。
茶室だけでは茶事はできません。炉が切ってあるだけでは茶室にはならないし、まわりの部屋との関係がとても重要なのです。ここを勘違いしている人がとても多いのです。
お金をかけなくても、特別な材料を使わなくても、ナントカ先生の監修じゃなくても大丈夫です。
客側も亭主側も、動きやすくて使いやすい、そしてその人なりの雰囲気を持った茶室を一緒に考えましょう。

まずは茶事の流れを思い浮かべよう
一般には、茶室でお茶を飲むことだけが茶会だと思っている人がスゴク多いのです
実は茶事のほんの一部にしかすぎないのです。ここを勘違いすると全く使えない茶室設計をスタートさせてしまいます。
「茶事七式」とも言いますが、正午茶事がこの代表的なものです
茶事の流れを知らないと設計できません。

茶事にも何種類かありますが、一般の流れは初入りと後入りに大別されます。

初入りの前に待合で湯をいただき、腰掛け待合で迎え付けを受けてから、席入りします。
そして、炉の既設の場合は初炭〜懐石(風炉では懐石〜初炭)となって、中立ちで一旦席から出ます。
その後、再び席入り(後入りといいます)。これからがメインとなります。
濃茶〜後炭〜薄茶と進んで退席します。
もちろん、炉や風炉のそれぞれの季節や茶事の種類によって多少違いますが、これが一般的な流れとなります。
この間約4時間前後が茶事となるのです

お客様の動きのフルコースとしては、
寄付〜待合〜外露地〜腰掛け待合〜内露地〜茶室〜腰掛け待合(中立)〜茶室〜待合い.寄付.帰宅ということになります。
(現在の住宅事情やスペースに合わせてある程度省略したり、まとめたりできますので安心してご相談下さい。)

客側と亭主側がスムーズに動くために、水屋や台所の動き、いわゆる水屋仕事のための使いやすいスペースが必要になってきます。
茶室とはお点前をする部屋ではなくて、周囲のスペースや働きを考えた全体をいいます。
ですから実際にお茶に接していない人には決して、本当の意味での茶室の設計ができないのです