20回  

腰張り

茶室の壁の腰部分に和紙を張ることを腰張りと言います。

通常点前座廻りには高さ9寸の白い美濃紙又は西の内という和紙を張ります。

お茶を点てる正常な場所という意味合いを持っています。

客座廻りには紺色の湊紙を2段、つまり1尺8寸の高さにして張り廻します。

ただ2色でなければならないことは無く、すべて紺色や白色の例もありますので、壁の色を考えて選べばよいのではないでしょうか。

床の間には張ることは有りません。

亭主側と客側をはっきりさせるというほかに、帯などが壁に擦れるのを防ぐという理由もありますし、掃除をするときもほうきや掃除機で壁に傷をつけることを防ぐということもあります。

時には和紙に書いた手紙(反古紙)を、文字の面又は裏面にして腰張りに使うこともあります。

張りかたは、壁に向かって左側から張りはじめ、継目は2分程度重ねて張り続けていきます。

2段の場合は上下目違いにして張っていきます。

無地の和紙ではつるつるした面を表にして張っていきます。

広間の茶室では腰針をしていないのが一般的ですが、お稽古などに頻繁に使う部屋が8畳や10畳である場合は、腰張りをしたほうが現実的でしょう。

ただデザインを優先する茶室の場合は腰張りをしていない例も存在しています。

茶室独特の壁の塗り方

基本的に狭い空間である茶室をどう広くのびやかに見せるのかということで、昔から工夫がなされてきました。

その一つが壁の塗り方にも表れています。

■塗隠し壁■

床の間の奥の柱を大壁などにして塗りこめて見えなくする塗り方を言います。

そうすることで広く見えることが知られています。

近年は茶室だけでなく一般住宅でも行われています。

■塗回し壁■

壁の出隅を柱などのコーナー材を使わずに壁を塗り回す方法です。

一般茶室にはこういったケースは少ないですが、台目茶室などには出隅部分が出ることがあります。

部屋の広さを感じるにあたって大きな影響があります。