第3回  

水屋の大切さ
「茶室の計画はまず水屋から」というお話しは前回でもしましたけれど、台所と一体的に使える茶室は圧倒的に使いやすい茶室なのです。
床の間のこととか、炉をどこに切る?などといったことに最初から執着し始めると良い計画になりません。
水屋というのは裏方の場所ですが、亭主がお客様をもてなすときの前線基地と司令室の両方を兼ねる場所だと思えば、その重要性がわかるはずです。
水屋が使いにくい茶室はその建物自体が使いにくいということにもつながるのです
具体的には
台所と水屋とが密接につながっていること
数人が作業できる部屋の広さ
茶会の途中であっても他の作業等のために水屋から抜け出すことができるような位置にあること
電気や水などの設備が整っていること
道具などの収納が用意されていること
などが使いやすい水屋といえます。


茶室は自由設計?
の中には数多くの茶室が存在しますが、「写し」以外は全く同じ茶室というのはほとんど無いようです。
ということは「自由設計」なのか?
そんな単純な話ではありません。

数寄者が自分の感性だけで建てたり、何度か茶室を建ててきたために自分好みに計画する場合は別ですが、一般的には1度か2度のもの。だから使いやすい茶室にするための基本ルールが必要になるのです。
でも、細かい寸法や仕上げ形などに厳格な決まりごとがあってそれを守らなければならないかのごとく吹聴している人を見かけますが、実際にお茶のお稽古をしない人がそんなことを言っているのです。
使いやすい茶室のルールはお茶に接することで体感できることでもあります
水屋の位置、他室との関係、茶事の流れを理解していけば使いやすい茶室のための基本的なことが分かる様になります
茶事をよく理解している設計者は、どのようなところから考え始めても、全体として使いやすい茶室を設計できるのです。
では一緒に考えていきましょう。


茶室の基本は4畳半
一般の和室では広間といえば8畳以上ぐらいでしょうか
でも茶室の場合は4畳半以上を広間と呼ぶことが多いようです
もともとは、現在のように「大寄せ」の茶会などは特殊なことだったと思われるのです。
4畳半より小さい部屋は「小間」と呼ばれています。(ただし、広間に対しての小間と呼ぶ場合もあります)
4畳半は茶室の基本の間取りで、「4畳半切」と言われる炉と畳の配置でのお点前をよく知ることが大切になるのです。
広間と小間の基本的な違いは、広間では踏込畳と点前畳(道具畳)が分かれますが、小間では兼用となります。
(もちろん炉の位置も違ってきます)
ただ、4畳半の畳と炉の配置を知っていれば広間、小間両方とも理解できると思います。